高校物理の勉強方法
物理�機↓兇鬚修譴召�1年で学ぶというのは、なかなか大変なことです。なぜなら、「力と運動」「熱とエネルギー」「波動と音・光」「電磁気と回路」「原子の構造」など、日常体験することのない多岐にわたる現象の法則や原理や知識を短い期間に学ぶからです。公理に基づいて推論される数学とはちがい、物理では経験的知識による理解が欠かせません。そのために適時に実験が行われて、理解を助け深めるように教科書に工夫が施されています。
しかし実験とは時間を要する作業です。なかなか高校生が血肉にできるほど実験時間をとることができないのが現状でしょう。実験できるのは多くの物理現象の中のほんのわずかです。だから、多くの高校生は天下りで知識を暗記して、問題に応用するという勉強になってしまいます。本質的な理解が不足するから、応用の度合いが少しでも高くなると、とたんに解けなくなってしまいます。これらは、私の高校時代の経験です。
特に分からなかった例をあげると、円運動がなぜ向心力の作用で起きるのか、ということでした。物体に紐をつけて回すと遠心力を感じます。物体に働くのは遠心力だから、遠心力に基づく運動方程式を考えてしまうのです。走ったり自転車に乗ったりしてコーナーを回るときも外側へ飛ばされるような力を実感します。円運動でなぜ力が反対方向の向心力なのか、合理的な説明ができませんでした。
分からないなりに、円運動は向心力と天下り知識に任せて問題を解くことで、入試に対応したのでした。これなど力学に対する本質理解が全く欠落していたのであって、理系志望者としては情けない限りでした。何とか自分を納得させるに足る説明ができるようになったのは、大学で再度力学を学んでからであったような気がします。
そこで物理の勉強方法を書こうと思ったが、ある本の中でとても良い勉強法が書かれていたので、まずそれを紹介しましょう。その上で、私のお勧めを書きます。紹介したい本は
宮本延春「オール１の落ちこぼれ、教師になる」角川書店、（２００６）．
中卒でフリーターだった宮本さんが23歳のときに「アインシュタイン・ロマン」というビデオを見て心底から感動し、物理学を学びたいと24歳で定時制高校に入学し、猛勉強して27歳で名古屋大学理学部に合格しました。学力が決定的に欠如していたので、小学校レベルの勉強から始めて4年の高校の勉学で、難関大学の理学部に合格するとは驚嘆に値します。素晴らしい本で、私は深く感動しました。理系をめざす高校生にはぜひ読んで欲しい本です。
この本の中で、宮本さんのいう物理の勉強法は次のようなものです。
１）他人に説明できるようになって、初めて、自分が理解していることが分かる
２）現象を的確に図で表す
３）公式は自分で導き出す
４）解けないときは何が原因で解けなかったのかを必ず吟味する
５）二度、三度と解き直す
上記に私なりの補足をしよう。１）昔から「教えることは学ぶこと」といいます。他人に納得させるためには自分が納得していなければできません。こうした経験をするためには、友人と勉強をする機会を作ることです。お互いに教えあい学びあえればまさに「教えることは学ぶこと」になります。分からないことがあれば積極的に先生に質問することも同じ効果があります。質問をすること自体が学ぶことに繋がります。質問をするためには、自分の頭の中がきちんと整理され、聞きたいことが的確に表現されることが必要だからです。よく「何が分からないのか分からない」ということで、質問すらできない理解レベルがあります。こうした状態では、他人に説明など全くおぼつきません。だからといって諦めてはだめです。それでも先生や友人に「何が分からないか分からない」と質問してみることです。先生や友人にとって、きっと良い学びになるだろうと信じて。良き先生や友人は、「分からないことは何か」を推測して、あなたに質問してくるでしょう。そこから「教えることは学ぶこと」の関係が始まります。
２）について図解という言葉があります。図によって解き明かすということで、近年ビジネス社会でも重要視されています。図によって説明すると顧客の納得性が格段に高まるのです。物理でも問題の現象の図を描くことによって、頭の中の理解や考えや概念が目の前に見えるようになります。すると、まずは問題が何かが明確になります。図と頭の中の理解とが乖離していればどちらかを修正します。それを繰り返すことにより、問題の正確な理解ができ、解答への道筋が見つけ易くなります。
３）について物理の公式は丸暗記するよりも、それが導出された筋道を理解するようにします。丸暗記も必要だが、導出過程が分かっていないと、応用が効きません。導出過程は物理的な因果関係の連鎖であって、これを自ら辿り明かすことができることが物理的思考力を意味します。だから導出過程を繰り返すことにより、物理的思考力を身につけることができます。
宮本さんの意見にさらに以下を付加しましょう。
７）日常経験する物理現象を説明できるようにしましょう。例えば、「雲のないとき空はなぜ青いか」「夕焼けはなぜ赤いか」「高いところはなぜ温度が低いか」などなど。ありふれた日常の現象ですが、無論きちんとした物理的根拠があります。これを的確に説明するには、物理的思考力が相当に高いことを必要とします。したがって、日ごろからそのような現象について考えていれば、自然と物理的思考力が身についてくるに違いありません。
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