大学進学をめざす皆さんへ
大学進学をめざす高校生など皆さんへのエールを送りたいと思います。文部科学省の統計によれば、平成15年度(今から6年前)の大学入学者数は約60万人、大学進学率は41.3%(18歳人口に対するもの)です(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/gijiroku/)。短大、高専、専門学校など上級学校への進学率を含めると約73%といわれています。今から50年ほど前の1960年頃の大学への進学者数は約20万人/年、進学率は約12%だったから、人数で3倍、率で3.5倍という伸びを示しています。当時は大学以外の上級学校はほとんどなかったので、高校卒業生の進学の伸びはおよそ6倍といえ、数字の上からいえば、非常に大きな教育環境の向上といえるでしょう。今や大学総定員が大学入学希望者数を上回る状況となり、”大学全入時代”といわれ、大学によっては大幅な定員割れが避けがたくなっています。
日本社会は高度の教育を受けた人材を必要としたのであり、多くの国民もまたそれを望み、その要求に応えてきたのです。しかしこのように同世代の若者の約10%が進学する大学から40%以上が進学する大学に変化したということは、大学そのものが大きく変容してしまったといわなければなりません。それは、一言でいえば、「1)社会が必要とする基盤的な学問分野の高度の研究教育を行い、社会の各分野の先端の知識を創出し、リーダーを育成する」という昭和30年代までの大学の明確な役割が「高校卒業生の教育という共通目的以外には一括りにできない」大学の役割へと変容したということでしょう。
それでは、今日の大学の他の役割とはどのようなものでしょうか。
2)高度の教養に関わる研究教育を行い、指導的な社会人を育成する。
3)専門的な職業知識に関わる研究教育を行い、専門的な職業人を育成する。
4)各分野の実務知識に関わる研究教育を行い、実務能力の高い社会人を育成する。
2)3)はもともと1)に含まれていたものですが、大学と学生が急増するにつれ、分化したものといえます。4)になると、既成の学問分野に関わらず社会的ニーズのある業務分野ならばほぼ全てが教科の対象になっています。以上から分かるように、多くの大学は、大学の初期の目的である社会発展の先端分野のリーダーとなる人材を育成する機関とはいえなくなっています。
大学入学をめざす貴君が大学に対してどのようなイメージをもち、そこで学ぶ目的は何でしょうか。しかしそれがどのようなものであろうとも、共通していえることは、高い学費と4年という時間をかける学生生活を無駄にしないためには、「自ら考え動き学ぶという姿勢」が絶対に必要だということです。その姿勢いかんによって、貴君が学生生活から得る果実は大きく変わってきます。
大学の受験勉強もそのような貴君の姿勢が試されます。自らの将来は自らの考えによって決めて、それに相応しい大学をめざして自ら勉強しなければなりません。そのことによって、希望の大学入学という果実が得られるでしょう。この望星塾がそんな貴君のサポートができれば嬉しく思います。(091127)
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